
アレー・ボッチ―と賢者の便所飯
目次
僕らはいつだって魔法使いに憧れてる

あーあ! 僕にも素敵な魔法が使えたらなあ!
な~んて思ったこと、皆もきっとあるよね? 僕だってそうさ!
子供の頃はもちろん、大人になった今でもたまに思うんだ。魔法の力で一儲けして、一生遊んで暮らしてえなあって! う~ん、あの頃抱いてた純粋な夢も、今では欲望で汚れっちまったなあ。
いやまあね。僕ももういい歳なので、本気で今から自分に魔法の力が目覚めるとは思っちゃいないさ。
だけど、人には妄想するという、それこそ魔法みたいな偉大な力があるんだ! 妄想の世界でなら、人はなんにでもなれるしどこにだって行ける。
そう、ガキの頃夢見ていた、ホグワーツ魔法魔術学校へ入学することだって可能ってことさ! ほぅら、瞳を閉じれば、手のひらの中にはホグワーツへの入学案内が見えるだろ……?
さあ行こう! ワクワクドキドキが止まらない、希望に満ちた魔法界へ……! ここから僕達の魔法使いとしてのストーリーが始まるんだ! マグルの世界とはサヨナラバイバイだぜ!
陰キャのホグワーツ生活日記
ホグワーツ特急にて地獄の列車旅
意気揚々とキングズ・クロス駅に乗り込むも9と3/4番線の場所が分からず、脂汗をかきながら駅内をウロウロと探し回る。
誰かに聞く事もできず、最終的に駅内の柱を一つ一つチェックして自力で探し出す。

なんとかかんとかホグワーツ特急に乗車し、やっと一息つけると思ったがどのコンパートメントも既に人でいっぱい。
相席を頼めるはずもなくどうしようどうしようと脂汗をかきながら汽車内をウロウロ。そして全てのコンパートメントに先客がいることを確認し、絶望する。
途方に暮れて通路に立ち尽くしていると、優しい監督生が声をかけてくれ、同級生が集まるコンパートメントまで案内してくれる。が、会話に混じれず一言も喋れず、列車に揺られながら地獄の時間を過ごす。

その経験を活かし、帰りや翌年の汽車には誰よりも早く乗るように心がける。
首の皮一枚でハッフルパフに拾われる
コンパートメントで一緒になった生徒の金魚の糞のようにそろそろと後ろをついてホグワーツ城へ足を踏み入れる。
雰囲気のある建物にほぉーっと陰キャもテンションが上がるが、組み分けの儀式が全校生徒の前で一人ずつ行われることを知り背筋が凍る。

う~むこれは……う~む……そうだな……まあ、うむ。しいて言えば……。

結果、いたたまれない環境にもじっと我慢ができる忍耐力を拾ってもらい、辛うじてハッフルパフへの入寮が決まる。心なしか拍手が少なかった気がする。
その後の宴会では、最初は話を振られていたものの徐々にフェードアウト。間を埋めるためにとにかく食べて飲み、20分に一度トイレに立って時間を稼ぐ。
ようやくたどり着いた寮でも同級生の会話に混ざれず。隅のほうで愛想笑いを浮かべる。明日からの日々への自信をさっぱり無くし、早くも家に帰りたくなる。
クィディッチは観に行かない
待ちに待った箒による飛行授業。
ひょっとしたらまだ見ぬ才能が目覚めて一躍ヒーローになれるかも……! と淡い希望を抱くも案の定才能ゼロで早くも萎える。
技術の習得が他の生徒と比べて三回りくらい遅れていたため、先生がつきっきりで教える。結果授業の進みが遅くなり、早く飛びたい陽キャグループからブーイングの声が漏れ始める。大量の脇汗をかく。
これ以上皆に嫌われたくない一心で出来もしないのに無茶をし、結果落下して死にかける。
その後はすっかり箒嫌いになり、皆が応援に詰めかけるクィディッチの試合もスカして観に行かない。

クィディッチ? あんなの命知らずの馬鹿がやるスポーツでしょ? 本でも読んでる方がよっぽと有意義だよね僕には理解できないよ(早口)
スネイプ先生にねっとり叱られる
授業は当然一人で受ける陰キャ。
そんななか、とある日の魔法薬学の授業で教科書を忘れるという失態を犯し、大ピンチに陥る。
忘れ物をしたと白状することも周りの生徒に見せてくれと言い出すことも出来ず、じっと黙ってその場を乗り切ろうとするも、スネイプ先生にあっさり見透かされる。

では教科書18頁を……陰キャ、読んでみたまえ。……ん? どうしたのかね早く読みなさい
すぐに指摘するのではなく、一度泳がされたのち皆の前でねっとりと吊るしあげられる。

おまけにハッフルパフ10点減点をくらい、寮生からの視線にも棘が混じる。
以降、スネイプ絶対殺す日記をつけ始める。
忘れ物を隠蔽しがちな陰キャの特性はこの記事に記載
まとめ 環境だけでは人は変わらない
今回は陰キャの過ごすホグワーツ生活をご紹介してみました。

現実の学生生活と変わらへんやんけ……
そう。魔法使いだって万能ではないのです。
学校に行って授業を受けて魔法を学び、課題に追われて試験も受けて、就職活動もしっかりしなくてはならない。
魔法使いになったからといって、障害が全て消えるわけではなのです。陰キャが魔法界に乗り込んだところで、それだけでモテモテでウハウハで陽なパリピになれるわけはないのです。
環境だけで人は変わらない。物事が上手くいかないからといって環境のせいにするのは逃避以外の何物でもありません。
自分を変えるには、確固たる自分の意志と行動しかない。
う~ん。陰キャの背中は人が生きる上で大切なことをいくつも教えてくれますね。陰キャは偉大だ。蛙チョコレートのカードになってもいいんじゃないのこれ。メルカリで高値で取引されちゃうよ?
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