今回の記事はR-15でお願いします
目次
変態バンド・スピッツ
スピッツというバンドの存在を知らない方は少ないと思います。ロビンソン、チェリー、空も飛べるはず、楓あたりの曲が超有名ですよね。
ところで、皆さんはそんなスピッツに対して、どのようなイメージを持っていますか?
爽やかで心地よい曲を歌うポップロックバンドという感じですかね。そもそもスピッツがロックバンドであるという認識のない方もいるのではないかと思います。
しかし、いちファンの立場からおこがましくも言わせてもらうならば、スピッツはゴリゴリのロックバンドです。
詩的な表現と美しいメロディー、そしてボーカルの草野さんの歌声で包みあげることで爽やかな仕上りになっているだけで、その中はドロドロの真っ黒で毒満載なんですよね。
草野さんは以前「俺は死と性でしか詞を書かない」と述べたことがあります。
2014年くらいからは(アルバムで言うと「小さな生き物」)、その範疇に入らないテーマの曲も見受けられますが、特に初期スピッツには件の「デスとセックス」が溢れています。
端的に言うと、歌詞がヤバい(変態的という意味で)曲が多いんですよ。名曲なんですけどね、どれもこれも。
というわけで今回はそんなスピッツより、僕がお勧めしたい珠玉の変態曲を紹介していこうと思います。
ステキな変態曲達
君から盗んだスカート『惑星のかけら』
まず一曲目に紹介するのは『惑星のかけら』。スピッツ4枚目のシングルで、初出は1992年と古い曲です。3枚目のアルバム『惑星のかけら』や、シングルコレクション『CYCLE HIT 1991-1997』に収録されています。
僕が推したい変態ポイントはこちら。
君から盗んだスカート 鏡の前で苦笑い
スカート、盗んどるー! そんで着とるー!!
まあ「着てる」とまでは言っていないのですが、鏡の前に立って見てるという状況的に、手で広げているというよりは実際に着てみているという絵が浮かんできます。
苦笑いの理由はなんでしょうか。「いや~盗んじまったなあw」とか「似合ってねえなあw」「サイズきついなあw」みたいな感じですかね。どれにせよロクなもんじゃないですね。
この『惑星のかけら』という曲はかなりヘヴィで、スピッツのシングルとしてはかなり異色なんですよね。
ゴリゴリに歪んだギターサウンドとダウナー系な草野さんの歌声、そしてヤバめな歌詞が織りなすなんとも色っぺえ曲ですね。
消えないようにキズつけてあげるよ『猫になりたい』
『猫になりたい』の初出は1994年。シングル『青い車』のカップリングとしてでした。アルバムとしては『花鳥風月』に収録されています。
さて、この曲の推しポイントはサビを締めくくるこちらの歌詞。
猫になりたい 言葉ははかない
消えないようにキズつけてあげるよ
『猫になりたい』という曲は全体を通して穏やかな曲なんですよ。牧歌的というか、どこか昔の思い出を懐かしむような雰囲気で。実にタイトルをマッチしてる。
そんな中で唐突に出てくる「消えないようにキズつけてあげるよ」というエゴと欲望丸出しのフレーズにゾクっとさせられ、「え? 何? 今の部分もう一回」と巻き戻しボタンを押すのです。
解釈としてはですが、大きくは2通りの意味で取れそうですね。
単純に「俺のことを一生忘れられくしてやる……」的なニュアンスでもいいですし、純潔を奪うという意味でも取れます。
昼下がりに聞きたくなるような曲調の中にこういう尖ったブラックな歌詞をぶっこんでくる感覚とセンスは、やはり変態的であると言うほかありませんな。
夏蜘蛛になった『プール』
続いては『プール』。1991年発売の2ndアルバム『名前をつけてやる』に収録されています。ファンの間では「初期の名曲」として名高い一曲です。
この曲の推しポイントは何といっても冒頭のこちら。
君に会えた 夏蜘蛛になった
『プール』という曲は全編通して男女の情事を描いていると言われていますが、その空気が凝縮されているのがこの短いセンテンスなワケです。
人間には腕2本脚2本の合計4本が生えていますよね。2人合わせれば計8本というわけで、2人の人間が重なっている様を「蜘蛛」になぞらえています。
性行為の様をグロテスクかつどこか滑稽でもある蜘蛛で表現しているのは実に秀逸だなと思いますね。
そのうえで頭につけられた「夏」という一文字。これにより醸し出される熱気と汗、エロティックな雰囲気……。
完成する「夏蜘蛛」という単語の官能的な響きといったらないですね。たまらんわ。興奮してきたな。
これはもう文学賞ものの1節と言って差し支えないのではと思います。エロのね。
君のヌードを見るまでは『ラズベリー』
『ラズベリー』は1994年に発売されたアルバム『空の飛び方』に収録された一曲です。
ポップでノリ良く明るいメロディー。それに乗せて歌われるのはド直球に性行為です。この尖り具合と捻くれ具合がスピッツの魅力なんだなあ。
この場で説明するのは憚られるくらいにド直球なセックスソングですが、中でも好きな一節はこちら。
おかしいよと言われてもいい
ただ君のヌードを ちゃんと見るまでは僕は死ねない
頭おかしいよ! でも、そうだよね、そんなもんだよね男って。
性行為の描写は様々な比喩や詩的表現を用いて上手く誤魔化しているのに、欲望は隠さずそのまま丸出しにするところが可愛らしいなと思います。思いません?
ちなみに草野さんはこの曲は女性が歌うイメージが書いたそうです。ヤバいヤツですよね。
ハンティングナイフのごついやつをあげる『ナイフ』
1992年発売のミニアルバム『オーロラになれなかった人のために』収録の『ナイフ』。僕個人としてはこの曲をスピッツ・ナンバーワン・変態ソングと認識しています。
ちょっと長いですが冒頭の歌詞をご覧ください。
君は小さくて 悲しいほど無防備で
無知でのんきで 優しいけど嘘つきで
もうすぐだね 3月の君のバースデイには
ハンティングナイフのごついやつをあげる 待ってて
タイトルにもなっている「ナイフ」。この単語が表しているのはずばり「男性器」であると言われています。……ヤバいを通り越して危ないヤツです。
しかもよりにもよって「ハンティングナイフ」ですからね。狩りに用いられるナイフですよ。合意の下というよりは無理やり……な構図が嫌でも浮かんできます。
「優しいけど嘘つきで」というセンテンスからは「君は本当は僕のことが好きなハズなのに、僕に冷たくして……!」みたいなイカれた空気を感じます。この曲はイカれたストーカーの歌です。
まあ無理にセックス方面に繋げなくても良いかも分かりません。その場合のナイフは文字通りのナイフになります。
「君を刺し殺しちゃうね♡」か「君に刺し殺されたいな♡」のどちらかになるかと思いますが、どちらにせよ収監されるべきヤバさです。
でも本当にヤバいのは、こんな歌詞の曲を爽やかに、どこか幻想的に儚く歌い上げる草野さんなのでは……。
番外編
君のおっぱいは世界一『おっぱい』
おまけで紹介したいのはアルバム『花鳥風月』収録の『おっぱい』です。インディーズ時代からあった曲で、作成したのは草野さんが19歳~20歳くらいの頃だそうなので、1980年代後半になりますね。古い曲です。
今回は「変態ソング」特集としているので、正直この曲がテーマに即しているのかは分からないんですが、タイトルもタイトルなので無視できませんでした。よって、番外編と称して紹介することにします。
この曲がどんな曲か。それは下の歌詞を見てもらえれば分かるはずです。
君のおっぱいは世界一
君のおっぱいは世界一
もうこれ以上の 生きることの喜びなんか要らない
明日もここで君と会えたらいいな
君のおっぱいは素晴らしい! エクセレント! マーベラス! という想いだけを歌った曲です。偽りのない裸の気持ちを叫んだ若さ溢れる歌詞ではないでしょうか? 一周回って正統派ラブソングと言ってもいい。
大きいとか小さいとか色とか形とか色々あるけども! 僕は! 君のおっぱいが大好きなんだッッ!! そんな君のおっぱいを見ることが出来たならもうそれでいいんだ! そこが人生のピークなんだッッッ!!!!!
という真っ直ぐすぎる気持ちが高らかに歌われています。純真過ぎて眩しいぜ。
まとめ
いかがでしたでしょうか? 今まで抱いていてたスピッツへのイメージが変わりましたかね? 爽やかな外観をぺりりと剥いてみると、中身はドロドロで真っ黒なド変態だったワケです。
自分の好きなものを布教したいというオタク精神で今回の記事を書いてしまいました。
何曲かは知ってたけどまともに聞いたことがない……という方が、少しでもスピッツというバンドに興味を示していただければ嬉しいです。
いくらでも語れるのでスピッツ沼民はぜひ声をかけてね。普段はコミュ障だけど、好きなもののことなら早口で喋れるわよ。オタクなのでね。
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