
あるものみな集めてビビディ・バビディ・ブー!
やあみんな! 越後のエターナルワンダーボーイこと僕だよ。
突然だけど、皆が魔法使いの存在を信じなくなってしまったのはいつからのことかな?
最初は皆も確信していたはずさ。この世界には色とりどりの魔法を使いこなし、箒に乗って空を飛ぶ魔法使いたちがいるってね。
だけど人間ってのは目で見たもんしか信じられなくなっちまうもんで、歳を取るにつれて彼らの存在を幻だと決めつけてしまうんだよな。
でもそれは君たちのせいってわけじゃないんだぜ。なぜなら彼らはとってもかくれんぼが上手で、そう簡単には見つけられないようにしてるんだ。
え? なんで僕がそんなこと知ってるのかって? それはね、僕自身がまさにその魔法使いだからさ!
そう、僕はイギリスにある魔法界の名門ホグワーツに通う現役魔法学生なんだ。
アルバス・ダンブルドアやニュート・スキャマンダーみたいな偉大な魔法使いになるため、日々この学び舎で研鑽に励んでいるんだよ。
今日は皆に僕が過ごすホグワーツの生活をちょっとだけ紹介しちゃうよ。これは見逃せないぜ!
目次
陰キャのホグワーツ生活日記 -2年生編-
ロックハート先生をガチで嫌う
今年度から新しく闇の魔術に対する防衛術の先生として赴任したギルデロイ・ロックハート先生。
多数の著書を持ち、世間では英雄と呼ばれ、おまけに雑誌の表紙を飾るほどのハンサムっぷり。その溢れ出る陽のオーラにあてられた陰キャは一瞬でロックハートアンチになる。
が、ロックハート先生が授業で前評判を覆す無能っぷりを惜しげもなく晒したことで陰キャもご満悦。
事態が急転したのは何度目かのロックハート先生の授業。

じゃあお次は2人組になって「トロールとのとろい旅」第2章を音読し合おうじゃないか! さあペアを作りなさい!
2学年になっても友人のいない陰キャ。案の定誰ともペアになれず余る。
バレないように身を潜めているが、ロックハート先生にこういう時ばかり目聡く見つけられる。


なーに心配することはない。なぜなら君には私とペアを組めるという栄誉が与えられるからね! 残り物には福があるとはこのことだ!
とびきりデカい声で情感たっぷりに音読する先生のせいで、中盤以降はほとんど衆人環視のもと音読をする羽目になる。
次講以降、またロックハート先生が気まぐれで音読の指示を出さないかと気が気じゃなくなる。授業前には胃がキリキリと痛むようになる。
決闘クラブでイキり散らかし医務室送りになる
秘密の部屋騒動で何やらきな臭くなってきたホグワーツ。
身の安全を守るため自衛手段を生徒が学ぶ場として、ロックハート先生主導のもと決闘クラブが開かれる。
胸にひそかな計画を秘め、陰キャもこの場にひっそりと顔を出す。
思惑通り生徒2人ペアを組んでの実践に入る。勇気を振り絞って適当な相手を見繕った陰キャ。
今が学生生活大逆転のチャンスとばかりに、先日図書館の本で覚えた上級呪文をドヤ顔で繰り出す。

……も、失敗し事故って自爆。
無事医務室送りになり、1週間マダム・ポンフリーにこってり叱られながら治療を受けることになる。薬が尋常じゃないほどマズい。
状態が回復したころにマクゴナガル先生とスプラウト先生がやって来てガチの説教を食らい、ハッフルパフから30点減点される。
ちなみに学友からの見舞いはついに1人もなかった。
皆が集団行動を心掛ける中でもぼっちを貫く
謎の魔法によって石にされてしまう生徒も続出し、いよいよ生徒間での恐怖心も高まる。
皆が用心のために固まって行動するようになるが、相変わらず知り合いがいないので陰キャは1人行動。
見かねた優しい学友が声をかけてくれるが、

イキって孤高を気取り、せっかくのチャンスをフイにする。
もちろん内心はガクブルで、廊下に自分以外の姿が見えなくなると膝の震えが止まらない。
スリザリンの継承者と噂されているグリフィンドールの眼鏡には絶対に近づかないように気を配る。
陰キャのホグワーツ生活日記 -3年生編-
ディメンターにビビって泣く
長い夏休みを終えて自信3年目のホグワーツへ。
過去の経験から列車には誰よりも早く乗り込み、自分一人のコンパートメントを確保する。
しかしそんな最中、なんとホグワーツ特急にディメンターが乗車してくる。
魔法界で最も忌み嫌われ、人の幸福を吸い取ってしまうという恐ろしい存在を目の当たりにした陰キャ。身体を震わせ泣きわめく。
1人で乗っていたのが不幸中の幸い。大変心細くはあったが少なくとも泣いてるところを人に見られずに済んだ。

その後の噂話で同学年にディメンターの恐怖で気絶までした眼鏡がいると聞き、自分より下がいると知って安心する。
最初で最後のホグズミード遠足
3年生になると定期的に魔法使いの村、ホグズミードへの遠足が許可されるホグワーツ。
最初は陰キャもワクワクしながらホグズミードへ向かうが、村中楽しそうな学生グループだらけという状況に気後れする。
ハニーデュークスやゾンコの店で買い物もしたかったしバタービールも飲みたかったが、どのお店も学生が一杯。
必殺の道に迷ったふりで何度も店の周辺をウロウロして入るタイミングを伺うが、ついにどこにも寄ることができなかった。

仕方なしに街を散歩して、トイレやベンチで時間を過ごす。「お友達と楽しんでらっしゃい!」と外出許可証にサインをしてくれた母の笑顔を思い出し、ひっそり泣く。
以降、陰キャがホグズミードへ足を運ぶことは二度となかった。
寝てる間にクィディッチ優勝決定戦
去年一昨年といろいろトラブルが発生した結果、3年ぶりとなったホグワーツクィディッチ優勝決定戦。
対戦カードはスリザリン対グリフィンドールだったが、久しぶりの大一番に学校中が盛り上がる。
学友たちも試合の話でもちきり。皆で観戦予定を楽しそうに話している。
そのすぐそばで聞き耳を立てている陰キャ。自分も誘われないかとソワソワしているが当たり前のように声がかからず。
試合当日は寮で不貞寝して過ごす。

応援なんて非生産的だ。第一自分の寮でもないのに……ブツブツ
その日の晩は試合の話でみんなが盛り上がっていた。みんないつになくテンションが高いので、珍しく陰キャにも話が振られる。

いやー凄い試合だったね! 陰キャくんもそう思うだろう?
その場にいなかったことすら気付かれていなかった。
まとめ 夢見る心を忘れないで
さて、ここまで皆には陰キャのホグワーツ2~3年目の生活を垣間見てもらったぞ。お時間もきたことだし、今日はここまでかな。
夢の魔法界での生活はどうだったかな? 期待通りだったことも、期待以下だったこともいろいろあったと思うんだ。
でも、それは僕たち魔法使いが、そして魔法界が確かに存在しているということの証でもあるんだぜ。決して良いことばかりのファンタジーじゃないんだ。

なぜなら僕らはリアルにこの世界に生きているからね。
良いことも悪いこともひっくるめて、僕たちはこの世界に生きてる。それは君たちと変わらないんだ。案外すぐそばに魔法使いがいたりするかもね!
そのうち彼らも君たちの目の前にも姿を現すかもしれない。でも、その時に君が信じる心と目を失っていたとしたら、きっと彼らに気づくことはできないだろう。
だから、いつまでも夢見る心を忘れないでほしいんだ。

バタービールで君たちと共に乾杯する日を、僕も夢見ているよ!